2014年9月11日木曜日

ドイツの滞在許可

《追記(2015/11/20)》
配偶者への労働許可証ですが、2014年にMake it in GermanyのOpportunities for family membersに記載されていた記述は、削除・変更されていました。

このサイトの新しくできたタブには、

*****
Work: Your accompanying family members will be immediately granted a residence permit entitling them an unrestricted right to take up an employment in Germany

就労:同行した家族には、ドイツでの無制限の就労許可を含む滞在許可が付与されます
*****

との説明が。

2014年時点の説明にあった「高スキル人材の配偶者」という条件が緩和されたということなのでしょうか?そうだとすると、ドイツに駐在や留学している日本人の配偶者(ほとんどの場合が妻だと思いますが)も、好きな仕事をする権利が与えられることになります。

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7月の半ばにドイツに移り、間もなく2ヶ月になります。

日本人の場合は、90日以内の観光または出張であれば、ビザを取得する必要はありませんが、今回は長期滞在になるということで、滞在許可を取得しなければなりません。

住んでいるミュンヘン近郊の市の市庁舎で住民登録をして、
外国人管理局(Ausländerbehörde)で、滞在許可を申請しました。

担当者のアポを取って、必要書類を持って外国人管理局に行ったところ、
配偶者としての滞在許可ではなく、ドイツでの労働可能な滞在証がもらえるとのことでした。

Make it in GermanyのOpportunities for family membersにも、下記のように説明されています。

*************
If you have been granted an EU Blue Card or residence permit as
  • an academic or research scientist,
  • a manager or specialist,
  • an IT specialist or another type of qualified professional with a university degree,
your spouse will automatically be granted a residence permit entitling him or her to take up any kind of employment.

ドイツではEU Blue Cardか、以下のいずれかステイタスで滞在(労働)許可を取得した者の配偶者は、労働許可を得ることができる
  • 学術関係者もしくは研究者
  • 管理職もしくはスペシャリスト
  • ITスペシャリストまたは有資格のプロフェッショナル職(大学の学位が必要)
*************

私の場合は上記の条件に合致するということで、ドイツで雇用してくれる会社があればそこで働いてもよいし、フリーランスとして仕事をしてもよいとのことでした。

今回、滞在許可申請の準備をするまで、このような規定があることを知りませんでした。

面白いなと思ったのは以下の2点。

1. ドイツで求められているSkilled workers
最近のOECDのレポートで、ドイツは米国に次ぐ移民大国、というものがありました。
Germany Top Migration Land After U.S. in New OECD Ranking

移民の数は増えているものの、中小企業は高スキル人材を雇うことができない、という状況が続いており、日本と同様に少子高齢化が進むドイツでは、生産性の高い就労人口を増やすことが求められています。

上記に挙げられている条件が、ドイツ政府の考えるSkilled Workersということなのでしょう。

an academic or research scientistが最初に挙げられているのは、
博士号取得者への尊敬度が高いドイツらしさが現れている気がします。


2. 配偶者の待遇改善がskilled workers呼び込みに役立つという発想
他の国のルールを知りませんが、日本の状況と比べると、
高スキル人材の妻・夫には、労働許可を与える、というのはユニークな施策だと思います。

どちらかが海外で働くことになった際、配偶者(主に妻)が仕事を辞めなければならないケースが大半だと思います。

もちろん、妻に働く意欲があり、移住先での労働市場でマッチングがあれば、その雇用主から労働許可を申請してもらうことは可能です。

しかし、そこにもハードルはあり、例えば、ドイツの場合、「労働許可を取得しようとする際には、ドイツ企業がドイツ人から職場を取り上げることなく、日本人を必要としていることを証明しなくてはなりません(デュッセルドルフの日本商工会議所)」とされています。

もちろん外国人局の担当者の判断にもよるとは思いますが、海外での就労にそれなりのハードルがあるのは確かです。

ドイツの、高スキル人材の妻・夫には、労働許可を与える、というルールは、skilled workersの配偶者も、skilled workersである可能性が高いという考え方に基づいていると思われます。
確かに、日本人に限らず、周囲の知人・友人を思い浮かべても、どちらかが海外で支障なく就労できる場合、その配偶者も渡航先で働けそう、というカップルが多い気がします。

夫婦のどちらかがドイツで働くことになった時、もう片方が就労することを認めるこのルールは、移住を検討しているカップルの背中を押す一つの材料になっているのかもしれません。

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