2015年5月17日日曜日

社会へのintegration

ドイツで働いている外国人カップルが、近いうちにアメリカに移るそうです。夫婦ともに米国の大学で博士号を取得し、片方はドイツでも有数の研究機関に勤務し、もう片方も専門分野の企業で研究職に就いており、ドイツ在住期間は2年半くらいです。

アメリカに移る最大の理由は、奥さんが、自分たちはドイツにintegrateされていないと感じていることだそう。夫のほうはドイツでの生活にそこまでの不満はなかったものの、奥さんの強い要望に応えて米国での就職先を探し、夏には移り住む予定とのこと。

ミュンヘンの人口の25%は非ドイツ人です。英語を話せる人もそこそこ多く、彼らの同僚や知人は流ちょうな英語を話す人ばかり。一方で、夫婦それぞれが、米国ビザを取得するという観点では最も制限の多そうな国の出身で、特に片方は悪の枢軸と名指しされた国です。それでもドイツよりもアメリカに住むほうが、社会にintegrateされると感じられる、というのはかなりの驚きでした。

ドイツでは、滞在許可を何度か更新した後に永住を希望する移民に対して、政府がIntegration courseを提供し、歴史、文化、社会制度などの浸透を図っています。これはどちらかというと、ドイツで働く機会を確保させ、子どもがいる場合にはきちんと教育を受けさせ、少なくともドイツの国力を損ねることがないように、という意図が込められている気がします。

友人夫妻は永住を希望する移民ではなく、ドイツが求めているスキルを持ったGuest Workerです。彼らにとってドイツはいくつかのオプションの一つであり、合わないと感じたら、すぐにいなくなってしまいます。こういったGuest Workersがドイツに求めるものには個人差があり、現行のintegration courseではカバーできないのでしょう。

ドイツで数年間働いた外国人のうち、ドイツから母国以外に移住する人たちの動向が分かれば、ドイツがどの国と高度技能人材の獲得を争っているのかが見えてきそうです。






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